第57話 水至りて清ければ魚なし.人至りて察なければ徒なし 「宋名臣言行録」太宗の言葉をそばで聞いていた呂蒙正は,次ぎのような賛意を表した. 「水清けえれば魚住まず,と言うように,人間もあまり厳格過ぎては,人が寄って来ません.大体,小人どもの腹の内など,君子には全て読めるもの,大きな度量を持って抱擁してやることで,万事はうまくおさまります. むかし,曹参が,牢獄と市場を特に慎重におさめよ,と言っております.その理由は,牢獄も市場も善悪正邪を合わせ受け入れるところ,その管理をあまりに厳しくすれば,姦人どもは身の置き所がなくなり,必ず反乱を起こすと言うのです.このたびも,出来るだけ穏便に処理すべきです.平価のお言葉は,無為自然の当地を理想とする”黄老の道”と合致するものです」 曹参は,漢の高祖劉邦の功臣,名宰相蕭何亡き後,その後任となりました.蕭何の定めた法を遵守しさえすれば世の中はうまく治まるのだからといって,自身は何もせず,毎日,酒を飲んですごしたと言う逸話があります. (99/5/3) |