温故知新


 第56話 人みな有用の用を知りて,無用の用を知るなきなり 「荘子」


 荘子は,「無用の用」ということを強調します.「無用の用」とは,世の中から無用だと思われているものこそが実は有用なのだ,と言う主張です.

 ある時,恵子という論敵から,「君の理論は現実に何の役にも立たんね」と批判されたとき,荘子はすかさず洪切り替えしています.
「無用の何たるかを知っている人間だけが,有用なる物について語る資格を持っているのだ.たとえばだよ,我々二人が立っているこの台地は限りなく広いが,今我々にとって必要なのは足を置くわずかなスペースに過ぎない.しかし,だからと言って足の大きさだけ残して,周囲を地のそこまで掘り下げてしまったらどういうことになるかね.それでも残した部分が役に立つだろうか」

「そりゃ役に立つはずがないよ」と恵子が答えたところ,荘子は,「それ見ろ,無用なものこそ信に有用であることがこれで分かったろう」と語ったそうです.

 確かに,目に見えないところで「無用の用」が大きな役割を果たしている例は沢山あります.それを発見できるなら,人生の視界を大きく広げることが出来るかもしれません. (99/5/3)


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