温故知新


 第53話 天地に一日も和気なかるべからず.人心に一日も喜神なかるべからず 「菜根譚」


 洪自誠は説く,「激しい風の日には,鳥たちでさえ,おどおど悲しげだ.輝く太陽を受ければ,草木さえも喜ばしげではないか.してみれば,自然にも,また社会にも,一日として欠かせぬもの,それは暖かい喜びの心だ」と.諺にいう「笑う門には福来る」.

 笑顔はゆとりから生まれ,ゆとりは相手を思いやる心から生まれます.それを思う時,今の世の中は,あまりにもゆとりを失い,思いやりを忘れているのではないでしょうか.とりわけ,これから育っていく子供達にとって,親や先生の「喜びの心」は欠かすことができません.

 わが子の,生徒の,ためを思ってのこととは言いながら,顔さえ見れば「勉強しているの?」「何々やっているか」と責めたてては,自主性も創造性も育ちようがありません.

 大人達が集まると「今の子供達は,若い連中は,お膳立てをしてやって,こうしなさいといえば,言われた通りにするが,自分で考えて好きなようにやれと言われると途方にくれてしまう」と言う話が出ますが,次の世代をその様に育ててしまったのは,私達自身ではなかったでしょうか.幼きもの,若い人達の可能性を信じて,ゆとりのある笑顔で見守っていたいものです. (99/5/2)


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