温故知新


 第46話 大事を成すには必ず人をもって本となす 「蜀書」


 劉備が言った言葉です.「徳の人」と言われる劉備にいかにも相応しいセリフです.曹操の大軍に迫られた劉備は,荊州から撤退することにしました.このとき,劉備の人徳を慕って,人民が続々と後を追ってやってきました.やがてその数十余万,荷車が数千両という大群に膨れ上がりました.こうなるといくら急いでも日に数十里しか進むことができません.そこで劉備は関羽に命じて船を借り集めさせ,人々を先に乗り込ませました.

「一刻も早く行かねばならないのは,我々の方です.今,ここには人間は無数におりますが,武装した兵隊はわずか一握りです.もし曹操の軍勢に追いつかれたら,一たまりもありませんぞ」とある武将が言うと,

「何を言うか.大業をなすには,何よりも人民が第一.今,これだけの人々が私を慕ってきてくれているのだ.それをむざむざと見捨てていけるか」と劉備は怒って言いました.

 リーダーたるもの,危機に直面したときにこそ真価が問われます.己の身の安全を真っ先に考えるようでは,その資格がないと言うことのようです.(11月18日)


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