温故知新


 第22話 これを望むに木鶏に似たり.その徳全(まった)し.「荘子」


 有名な「木鶏」の話です.紀せい子と言う闘鶏飼いの名人が,王から一羽の鳥の訓練を命じられました.10日経って王が様子を尋ねました.

「もうそろそろ使えるのではないか」

「いや,まだでございます.今はやみくもに殺気立って,しきりと敵を求めています」

 それから10日経って王が尋ねると,今度も

「いや,まだでございます.他の鳥の気配を感じると,たちまち闘志をみなぎらせます」

 また10日経って王が尋ねると,

「いや,まだでございます.他の鶏の姿を見つけると,ぐっとにらみつけたりします」

さらに10日経って王が尋ねると,

「近し.鶏,鳴くものありと言えども既に変ずることなし.これを望むに木鶏に似たり.その徳全ったし.異鶏あえて応ずるものなく,反り走らん」

 まるで木彫りの鶏のようで,他の鶏がどんなに鳴いて挑んでも,全く動じる気配がありません.他の鶏たちは,その姿を見ただけで,みな尻をまいて退散していくのだと言います.

 この木鶏の姿こそ,理想の人間像なのです.(8月5日)


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