第20話 髀裏の肉の生ずるを見て,慨然として流涕す.(髀肉の嘆) 「蜀書」
挙兵以来十余年,劉備が未だに根拠地を持てず,荊州の劉表のもとに身を寄せていたときのことです.ある日,劉表の館に招かれて雑談の途中,中座してかわやに立ったとき,内股の贅肉がついていることにふときがつき,「ああ,なんたることよ」と思わず落涙しました.そして席に戻ったところ,劉表に涙のあとを見つけられて,劉備は答えました. 「私はこれまで何年となく戦場を駆け回っておりましたため,凡そ股に肉の付くことなどなかったのですが,このところとんと馬に乗ることもなくなりましたので,すっかり肉が付いてしまいました.月日の経つのは早く,老境もはや目前に迫ったというのに,今もって大志を遂げることもかなわない始末.あまりの不甲斐なさに,ついに涙を流してしまったのです」 人は誰でも「髀肉の嘆」をかこつ境遇に置かれないと言う保証はありません.そんな時,いたづらに嘆くだけでなく,次のステップを築く工夫が必要でしょう.劉備が新たに諸葛亮を迎えたのはまさにこの時期でした.(7月29日) 温故知新へ |