温故知新


 第18話 光武、兵馬の勤めに当たりて手に巻を釈す.孟徳また自ら老いて学を好むと謂う.卿、何ぞひとり自ら勉学せざらんや. 「呉書」


 孫権が武勇一点張りの将軍呂蒙に勉学の大切なことを説いたとき、呂豪は、

「なにぶん陣中の勤めでございます.多忙に追われ、読書まで手がまわりかねるのが実情です」と逃げをうった.

 すると孫権は、二人の人物の名を上げて、いかに多忙でも本人のやる気しだいで可能なことを呂豪にさとしました.光武とは、後漢の中興の祖と言われる光武帝のこと、孟徳とは、曹操の字(あざな:幼少のころの名前)であります.

<光武帝は陣中でも書物を手放さなかったというぞ.操曹も”歳をとっても学問は好きだ”と言っておる.おまえだけのほほんとしていてもいいのか>

 これをきっかけに、呂豪は学問をはじめ、やがて智勇兼備の名将に変身します.実は孫権自身もなかなかの読書家で、若いころから歴史書や兵法書に親しんでいました.呂豪が俄然やる気を起こしたのは、孫権の日常の勉強ぶりを知っていたからでしょう.いかに上司の命令とはいえ、勉学をすすめる当人にその裏付けがなければ、説得力に乏しいですね.(7月28日)
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