第14話
もし嗣子,輔(たす)くべくんばこれを輔けよ.もしそれ不才ならば,君,自ら取るべし. 「蜀書」
劉備が諸葛孔明いい残した遺書としてよく知られています.
「もし嗣子(劉禅)が補佐するに値する男なら,どうかもりたててやってほしい.だが,その器量がないと思うなら,そなたが変わって帝位につくがいい」
夷陵での大敗後,白帝城にとどまって再起をはかっていた劉備だったが,関羽,張飛の盟友二人に先立たれて,すっかり気力,体力ともに衰えてしまったようです.間もなく病気に倒れ,床に付したままとなります.劉備は,諸葛亮を呼び寄せて,「そなたの才能は曹丕より十培優っている.そなたの手でわが国を安泰に導いた上,天下統一の大業を成し遂げてくれるものと信じる」と言って国政をゆだね,わが子の後見を頼むのであります.
それにしても,「和が子が無能なら,君がとれ」とは,ずいぶん思いきった託し方ですが,当時劉禅はすでに17歳,いくら親ばかのひいき目から見ても,その凡庸ぶりは覆いようがなかったようです.この不肖の息子を諸葛亮程の人物に託さなければならない申し訳なさや,負い目がこの言葉から感じられます.劉備の人気の秘訣はこんなところにあるのかもしれません.(7月19日)
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